ハナビラタケって?
ハナビラタケとは、シイタケやシメジのようなまるい傘はなく、白い花を連想させる姿をした美しいキノコです。大きいものでバレーボールほどの大きさになり、栄養価が豊富で味もよく、風味はほのかに松のような香りがします。
天然のハナビラタケは夏から秋口にかけて、標高1,000mを超える高山になる針葉樹の根本や切り株に発生します。
免疫力を上げるとされるβグルカンが豊富に含まれているハナビラタケですが、一般的なキノコに比べ成長スピードが遅く、育ち切る前に森の動物に食されたり、カビに侵されてしまうことが多く目にふれる機会はめったにありませんでした。
また、限られた環境下でのみ育つことから採取量が少なく人工栽培も困難とされていたため、その希少性から登山家やキノコ愛好家からは「幻のキノコ」と呼ばれています。
なぜ高山地帯の針葉樹林に発生するの?
ハナビラタケは他のキノコと同様涼しく、湿度の高い森林を好みます。
一般的なキノコは、針葉樹に含まれる毒性ポリフェノールの分解ができないため、針葉樹のそばで育つことはほとんどありません。
しかし、ハナビラタケは酸素を大量に消費することで針葉樹に含まれる毒性ポリフェノールを分解することができるため、他のキノコが育ちにくい環境でゆっくりと時間をかけて育つことを可能としているのです。
ハナビラタケは生きる化石?
ハナビラタケが地球上に誕生したのは約1億7千万年前。
ジュラ紀と呼ばれる恐竜の時代に遡ります。
大小様々な植物が繁栄し、光合成によって酸素濃度が上昇し続ける一方で、大気中の二酸化炭素はどんどん少なくなり、生態系バランスは悪化していました。
そんな中、キノコなどの菌類が進化を遂げ、枯れた樹木を分解する際に酸素を消費し二酸化炭素を放出することにより、悪くなっていた生態系は徐々にバランスを取り戻すことができたのです。
この“分解するチカラ”こそがキノコに含まれる栄養の秘密なのです。